クオリアに色彩を映す言葉

クオリア(qualia)
感覚的・主観的な経験にもとづく独特の質感。「秋空の青くすがすがしい感じ」「フルートの音色のような高く澄んだ感じ」など。感覚質。(デジタル大辞泉より)

辞書に書いてある意味は掴みにくいけれど、端的に言ってしまえば、クオリアとは「感覚という経験」である。

例にもあるように、色や音色など、それとそれから起因する感情による体感。

 

それが文学においてどのように表現されるのか稚拙な思考であるが纏めておきたい。

僕の好む表現として「静謐」というものがある。僕は、というか多くの人が感じると思うけど、この言葉に文字通りの静けさと、青を感じる。加えて埃っぽさのようなものも感じる。コンテクストの前後でそのニュアンスは変わるけれど、「驟雨の降りしきる秋、少し暗い昼下がりに電灯をつけず、しばらく換気のなされていない部屋に居る」ようなアトモスフィアを覚える。

こういった感覚を──先述したものは具体的であるし、個々によってその様相は変化するが──僕はその言葉の内に感じるのである。

 

言葉の選出、表記のしかた(ひらがなやカタカナ、漢字など)はそのニュアンスを大きく変容させる。これらを吟味して文を構成していきたい。

言葉は色彩を有し、刹那、意識を染めるのだ。